JAと筑後市の農事組合法人「百世」は、水稲栽培での流し込み施肥法による、施肥作業の省力化や、米の安定生産に取り組んでいます。
流し込み施肥法とは、ほ場の入水口より、肥料を溶かしながら流し込む追肥作業です。同市のい草(イグサ)栽培で取り組んでいた技術を応用しています。流し込み施肥により、肥料が水に流れて自然に分散・溶解することで労力軽減につながります。
水稲栽培では、出穂時期に追肥をしていましたが、作業の省力化に向けて基肥一発肥料を使うようになりました。しかし、一発肥料の場合、近年は夏場の影響で、肥料の効果が長続きしなかったり、肥料の散布ムラが収量に影響したりする場合があったことから、流し込み施肥の試験導入を行いました。
試験は、8月19日、同法人が「ヒヨクモチ」を栽培する約24aの水田で行いました。追肥用の肥料を43㎏投入し、肥料が溶解するまでに要した時間は約6分でした。1週間後にも同じ水田で追肥し、過程や結果を観察します。
この取り組みは、JA自己改革の一環で、農業者の所得増大に向けたプロジェクトの一つです。JAとJA全農および担い手・営農サポートセンターが一体となって、平成26年から開始。対象の経営体に対して低コスト・省力化技術を提案し、シミュレーションによって所得が最大となるモデルを作成し、現地にて実証を図っています。最適な営農プランが実証できれば、管内の他経営体への普及を図り、JAの事業強化へ繋げたい考えです。
JAの井上哲志TACは「今後も法人や各関係機関と連携を取りながら、農業者の所得増大に向けたさまざまな提案に力を入れていきたい」と話していました。