八女茶発祥の地として知られる黒木町笠原の霊巌寺で5月2日、八女市、JA、JA茶業部会黒木支部が「第55回献茶祭」を開きました。
八女茶繁栄の基礎を築いた「栄林周瑞禅師(えいりんしゅうずいぜんじ)」の遺徳をたたえるとともに、「福岡の八女茶」の更なる振興と発展を祈念する献茶祭は、毎年立春から数えて八十八夜にあたる5月2日に行っています。
献茶祭には、小川洋福岡県知事や藏内勇夫県茶生産組合連合会会長などの多数の来賓や茶業関係者、地域住民約150人が参列しました。皇風煎茶礼式総師範の平島光宣さんが注いだ新茶の献茶を供えた後、黙とう、焼香、八女茶山唄の奉納などが行われました。式典終了後は、本堂で一般来場者に淹れたてのお茶が振舞われました。
今年産の八女茶は、冬の寒さの影響で、時間を掛けてエネルギーを蓄えた引き締まった新芽が生育。先月16日に開かれた茶の初入札会では、平均価格が過去10年を上回る7612円と、高品質な新茶に仕上がっています。同町の中山間地の茶園では、平坦地からやや遅れて5月上旬に出荷ピークを迎える見込みです。
八女茶は、室町時代の応永年間に、出羽国(現在の秋田県)の禅僧・栄林周瑞禅師が中国・明の留学を終え、全国を旅していた途中、筑後国鹿子尾村(現在の黒木町笠原)を訪れました。この地が明国・蘇州「霊巌山寺」の地形、環境によく似ていたことから、ときの鹿子尾村庄屋・松尾太郎五郎久家氏に種子を与え栽培・製茶法を伝授したのが始まりとされています。
主催者代表あいさつで、三田村統之八女市長は「八女茶は、約600年という年月をかけて福岡県を代表するブランドに発展した。急須でお茶を淹れるという『ふれあい』と『おもてなし』を次世代につなげるためにも、家庭や職場などで日常的にお茶に親しんでほしい」と話していました。