全国果樹研究連合会は、8月30、31日の両日、全国の生産者が一堂に会し、次世代に繋がる魅力ある産地づくりへの意欲を向上するとともに、生産者相互の交流と連携を深め、カンキツ産業の振興と発展を図ろうと「第60回全国カンキツ研究大会」を福岡県で開きました。
第1日目は福岡市のヒルトン福岡シーホークで研究大会を開き、県外の生産者約600人と県内の生産者約400人が出席しました。
研究大会では、「次世代につなぐばい!よかカンキツ産地」をテーマに産地、品種、栽培技術、消費拡大の4つの観点からそれぞれ事例発表を行いました。また、表彰式では、平成29年度高橋柑橘賞をJAふくおか八女の椿原茂職員が受賞しました。
第2日目は、県外の参加者約600人が県内の産地視察を行いました。参加者は3班に分かれ、立花町北山地区と、みやま市山川町伍位軒地区(JAみなみ筑後)、筑紫野市の福岡県農林業総合試験場果樹部の3か所のうち2か所の園地を視察しました。
JA管内で八女市の西側に位置する立花町北山地区は、極早生品種を中心としたミカン産地ですが、園地が急傾斜地であるため、作業が困難で生産者の重労働化が課題となっていました。傾斜を緩くして、作業車両が通れるように道幅を広くするなど改善策を講じたミカン団地を平成8年から造成し、29年までに6か所の団地が出来上がりました。今回の視察を受け入れた団地は、平成20年に完成。この団地では、最先端の技術を導入しており、多くの生産者が周年マルチ(1年間通してマルチを被覆した状態)で点滴かん水(ドリップチューブ)+液肥施肥をコンピュータで制御するマルドリ栽培に取り組んでいます。高品質なミカンが作りやすく、また作業の省力化が進んでいることで、後継者不足の課題も解消しています。
この他にも、JAかんきつ部会は、有利販売に向け、さまざまな取り組みを行っています。シートマルチ栽培による高糖度ミカン「華たちばな」のブランド化販売や安全・安心のミカン作りを目指し、青年部員22人によるJGAP団体認証の取得、県が育成した「早味かん」の早期導入、カナダ・台湾・ハワイなどへの輸出など、さらなる優良産地づくりに力を入れています。
久保薫JA組合長は「県内で最も農業が盛んな八女の地へ全国各地から視察に来ていただきありがとうございます。JAかんきつ部会では、新しい品種が生まれると同時に改植もしっかりと進めている。この園地視察で得たものを、ぜひ技術・経営に役立ててもらいたい」と話していました。